短く感想を伝えると、ほの暗い上映会場の中で、彼の柔和な笑顔が見えた。
彼は私に1枚のプリントを手渡して、いまスタッフというか一緒に作品作ってくれる人を募集しているので、よかったらよろしくなんて言ってきた。
募集の紙を見て、私・・お!「私も興味あります!」って彼に伝えたけど
帰ってきた反応というか、瞬間的にわたしが感じたのは、彼に戦力外!!ってぜってぇ思われてる!!と瞬間的に察知した、このままでは落選!と思い、とっさに私は「あ!私写真の仕事やってました!アシスタントですが!!!」とアピール、まさに会心の一撃だ。
そこで、彼は(お!?)とばかりに、なんか言葉短く言ってきたけど覚えてない
要するに、落選を逃れた感、おお・・ひっかかった。と思った・・うん、手応えあり
あとは少しだけ会話をした気がするけど、その募集の紙を持って、早々に会場を後にした。
後日、三日くらいして手紙を書いた、ファンレターだ、感想と感嘆した旨を伝えた。
そうこうしているうちに、日数を経て私はまた違うスタジオで写真のバイトを始めていた。
以前働いていた写真スタジオとは雰囲気もやり方も全然違っていて、私はなけなしのプライドも
経験値も、まるで役に立たずに凹んでいたし、憔悴していた。そもそも何をどうしたらいいのかすらわからなくなっていた頃で、もはや退職して実家のある小樽に戻ってしまおうか?
実家の父の病気療養を理由に実家に戻ってしまおうかと考えていた。
そんな矢先のこと、母から職場に電話があったのだ。父が急に亡くなったと、いきなりの訃報に実感もなく、札幌から小樽に帰る途中にビルとビルの隙間の路地裏にもぐりこんで泣いた、号泣した。
小樽に帰って、実感のないままに滞りなく喪の儀式を超えていった。
正確にいうと今でも、やはり泣けてくるのであまり正確な描写はできない。
父の不在は、私にかけられていた毛布を剥ぎ取られた気分に近かった。
父とは生前険悪なことも多く、いや険悪だったと自分では思っていた。
でも、父の初七日も超えしばらく後になってからのこと、父が生まれたばかりの小さな私をだっこしてる写真写真のなかでの、父の顔は満面の笑みだった。
父のこんな顔、わたしはじめて見るから...
こんなタイミングでねぇ.. と もう復活ぎみだったけど、内心で泣いて苦笑いした。
父のことでのエピソードでもう一つ記録しておきたい内容がある。
物心ついた時から父とわたしは性格が正反対で、よく小言をいわれ叱れたり、怒鳴られたりして対立して喧嘩した。
もう学生の時で高校生とか中学生とかもはや若いなりに大きくなっていた頃に理由は覚えてないけど、がぁっっと、父と取っ組み合いに喧嘩になって、私は父の手を噛んだ.. のです。
いま思えばとんでもないことのような気がする、若気の至りです。
でも、、父、ずっとずっとあと、その事があってから何年か後でまだ生前の時に
(名前)〇〇は昔、俺を噛んだよなぁって。。笑いながら言っていたのをね、思い出しちゃうんだなぁ。。ずるいや、いまになってこんな風に気づかせてさ、仲直りしていないじゃないかさ。
もっと、ゆっくり過ごしたかったっかね、一緒に酒飲んで語りあいたかったね。
父はよく私を叱ってきたけど、たまに何かの時に大人になったなぁって言ってくれたりしてた。
私は、大切なことをいま、すぐにその場で気付けるようになるんだ。この場を借りて、そう決めた。
前後するけど、父の喪の儀式を終え、札幌に戻ってきた私は、もう小樽に帰ってしまおうか?そうよぎって迷いながら考えていた。
札幌の4プラ前、スクランブル交差点の前でわたしは途方に暮れていた。
全くもって何もかも、どう考えたらいいかわからくなった。
そこで思いついたのが、例の自主映画の監督のT君だ。
そうだ彼に電話しよう、そう思って彼から受け取っていた募集の紙に書かれている、携帯の電話番号にかけてみた。
何かしら、何を言ったかよく覚えていないけど、なんかどうしたらいいかわからなくて、相談に乗って欲しいというようなこことを言ったはずだ。
T君は快諾してくれて、フットワーク軽く30分後には私の前に現れて、近くのモスバーガーで話を聞いてもらった。
時間にしてなんと3時間、今のバイトと父のこと、そしてもう小樽に帰ろうか悩んでいることを伝えた。
彼は、モスの紙の裏紙に絵を描いて、海と陸を書いた。
陸と島はまだ見えないけど、島や陸はあるのだ。どこにいるかはわからないけど
案外陸の近くにいるかもしれないし、自分も海にいて陸の近くに案外いるかもしれない。
そんな風に言って笑った、そしてその例えは、妙に私にとって納得して腑に落ちて、勇気と明るい希望をもらって小樽に戻るこはやめた。
そして、その時に私はふと一冊の本を取り出してT君に見せた。
タイトルは「アルケミスト〜夢を旅した少年〜」著:パウロコェーリョ
彼は、それをみて少しだけ息を飲んだ雰囲気で、自分も読んでいい本で感銘したようなことを言っていたと思う。
++アルケミスト++ これは、冒険のはじまりを意味する本だったそんな気がしている。
0コメント